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不動産鑑定士の仕事・資格が分かる

不動産鑑定士の資格と仕事

不動産鑑定評価の作業手順/不動産鑑定士のすべてが分かる

不動産鑑定評価の作業手順

鑑定評価を行うためには、合理的かつ現実的な認識と判断に基づいた一定の秩序的な手
順を必要とする。この手順は、一般に鑑定評価の基本的事項の確定、処理計画の策定、対
象不動産の確認、資料の収集及び整理、資料の検討及び価格形成要因の分析、鑑定評価方
式の適用、試算価格又は試算賃料の調整、鑑定評価額の決定並びに鑑定評価報告書の作成
の作業から成っており、不動産の鑑定評価に当たっては、これらを秩序的に実施すべきで
ある。

第1節鑑定評価の基本的事項の確定
鑑定評価に当たっては、まず、鑑定評価の基本的事項を確定しなければならない。こ
のため、鑑定評価の依頼目的及び条件について依頼者の意思を明瞭に確認するものとする。

第2節処理計画の策定
処理計画の策定に当たっては、前記第1節により確定された鑑定評価の基本的事項に
基づき、実施すべき作業の性質及び量、処理能力等に即応して、対象不動産の確認、資
料の収集及び整理、資料の検討及び価格形成要因の分析、鑑定評価方式の適用、試算価
格又は試算賃料の調整、鑑定評価額の決定等鑑定評価の作業に係る処理計画を秩序的に
策定しなければならない。

第3節対象不動産の確認
対象不動産の確認に当たっては、前記第1節により確定された対象不動産についてそ
の内容を明瞭にしなければならない。対象不動産の確認は、対象不動産の物的確認及び
権利の態様の確認に分けられ、実地調査、聴聞、公的資料の確認等により、的確に行う
必要がある。

Ⅰ 対象不動産の物的確認
対象不動産の物的確認に当たっては、土地についてはその所在、地番、数量等を、
建物についてはこれらのほか家屋番号、建物の構造、用途等を、それぞれ実地に確認
することを通じて、前記第1節により確定された対象不動産の存否及びその内容を、
確認資料(第4節のⅠ参照)を用いて照合しなければならない。
また、物的確認を行うに当たっては、対象不動産について登記簿等において登記又
は登録されている内容とその実態との異同について把握する必要がある。

Ⅱ 権利の態様の確認
権利の態様の確認に当たっては、前記によって物的に確認された対象不動産につⅠ
いて、当該不動産に係るすべての権利関係を明瞭に確認することにより、前記第1節
により確定された鑑定評価の対象となる権利の存否及びその内容を、確認資料を用い
て照合しなければならない。

第4節資料の収集及び整理
鑑定評価の成果は、採用した資料によって左右されるものであるから、資料の収集及
び整理は、鑑定評価の作業に活用し得るように適切かつ合理的な計画に基づき、実地調
査、聴聞、公的資料の確認等により的確に行うものとし、公正妥当を欠くようなことが
あってはならない。

鑑定評価に必要な資料は、おおむね次のように分けられる。
Ⅰ 確認資料
確認資料とは、不動産の物的確認及び権利の態様の確認に必要な資料をいう。確認
資料としては、登記簿謄本、土地又は建物等の図面、写真、不動産の所在地に関する
地図等があげられる。
Ⅱ 要因資料
要因資料とは、価格形成要因に照応する資料をいう。要因資料は、一般的要因に係
る一般資料、地域要因に係る地域資料及び個別的要因に係る個別資料に分けられる。
一般資料及び地域資料は、平素からできるだけ広くかつ組織的に収集しておくべきで
ある。個別資料は、対象不動産の種類、対象確定条件等案件の相違に応じて適切に収
集すべきである。
Ⅲ 事例資料
事例資料とは、鑑定評価の手法の適用に必要とされる現実の取引価格、賃料等に関
する資料をいう。事例資料としては、建設事例、取引事例、収益事例、賃貸借等の事
例等があげられる。
なお、鑑定評価先例価格は鑑定評価に当たって参考資料とし得る場合があり、売買
希望価格等についても同様である。

第5節資料の検討及び価格形成要因の分析
資料の検討に当たっては、収集された資料についてそれが鑑定評価の作業に活用する
ために必要にして十分な資料であるか否か、資料が信頼するに足りるものであるか否か
について考察しなければならない。この場合においては、価格形成要因を分析するため
に、その資料が対象不動産の種類並びに鑑定評価の依頼目的及び条件に即応しているか
否かについて検討すべきである。
価格形成要因の分析に当たっては、収集された資料に基づき、一般的要因を分析する
とともに、地域分析及び個別分析を通じて対象不動産についてその最有効使用を判定し
なければならない。
さらに、価格形成要因について、専門職業家としての注意を尽くしてもなお対象不動
産の価格形成に重大な影響を与える要因が明らかでない場合には、原則として他の専門
家が行った調査結果等を活用することが必要である。ただし、依頼目的や依頼条件によ
る制約がある場合には、依頼者の同意を得て、想定上の条件を付加して鑑定評価を行う
こと又は自己の調査分析能力の範囲内で当該要因に係る価格形成上の影響の程度を推定
して鑑定評価を行うことができる。この場合、想定上の条件を付加するためには条件設
定に係る一定の要件を満たすことが必要であり、また、推定を行うためには客観的な推
定ができると認められることが必要である。

第6節鑑定評価方式の適用
鑑定評価方式の適用に当たっては、鑑定評価方式を当該案件に即して適切に適用すべ
きである。この場合、原則として、原価方式、比較方式及び収益方式の三方式を併用す
べきであり、対象不動産の種類、所在地の実情、資料の信頼性等により三方式の併用が
困難な場合においても、その考え方をできるだけ参酌するように努めるべきである。

第7節試算価格又は試算賃料の調整
試算価格又は試算賃料の調整とは、鑑定評価の複数の手法により求められた各試算価
格又は試算賃料の再吟味及び各試算価格又は試算賃料が有する説得力に係る判断を行
い、鑑定評価における最終判断である鑑定評価額の決定に導く作業をいう。
試算価格又は試算賃料の調整に当たっては、対象不動産の価格形成を論理的かつ実証
的に説明できるようにすることが重要である。このため、鑑定評価の手順の各段階につ
いて、客観的、批判的に再吟味し、その結果を踏まえた各試算価格又は各試算賃料が有
する説得力の違いを適切に反映することによりこれを行うものとする。この場合におい
て、特に次の事項に留意すべきである。

Ⅰ 各試算価格又は試算賃料の再吟味
1.資料の選択、検討及び活用の適否
2.不動産の価格に関する諸原則の当該案件に即応した活用の適否
3.一般的要因の分析並びに地域分析及び個別分析の適否
4.各手法の適用において行った各種補正、修正等に係る判断の適否
5.各手法に共通する価格形成要因に係る判断の整合性
6.単価と総額との関連の適否

Ⅱ 各試算価格又は試算賃料が有する説得力に係る判断
1.対象不動産に係る地域分析及び個別分析の結果と各手法との適合性
2.各手法の適用において採用した資料の特性及び限界からくる相対的信頼性

第8節鑑定評価額の決定
以上に述べた手順を十分に尽した後、専門職業家としての良心に従い適正と判断され
る鑑定評価額を決定すべきである。
この場合において、地価公示法第2条第1項の都市計画区域において土地の正常価格
を求めるときは、公示価格を規準としなければならない。

第9節鑑定評価報告書の作成
鑑定評価額が決定されたときは、鑑定評価報告書を作成するものとする。



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