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不動産鑑定士の仕事・資格が分かる

不動産鑑定士の資格と仕事

鑑定評価報告書/不動産鑑定士のすべてが分かる

鑑定評価報告書

鑑定評価報告書は、不動産の鑑定評価の成果を記載した文書であり、不動産鑑定士等が
自己の専門的学識と経験に基づいた判断と意見を表明し、その責任を明らかにすることを
目的とするものである。

第1節鑑定評価報告書の作成指針
鑑定評価報告書は、鑑定評価の基本的事項及び鑑定評価額を表し、鑑定評価額を決定
した理由を説明し、その不動産の鑑定評価に関与した不動産鑑定士等の責任の所在を示
すことを主旨とするものであるから、鑑定評価報告書の作成に当たっては、まずその鑑
定評価の過程において採用したすべての資料を整理し、価格形成要因に関する判断、鑑
定評価方式の適用に係る判断等に関する事項を明確にして、これに基づいて作成すべき
である。

鑑定評価報告書の内容は、不動産鑑定業者が依頼者に交付する鑑定評価書の実質的な
内容となるものである。したがって、鑑定評価報告書は、鑑定評価書を通じて依頼者の
みならず第三者に対しても影響を及ぼすものであり、さらには不動産の適正な価格の形
成の基礎となるものであるから、その作成に当たっては、誤解の生ずる余地を与えない
よう留意するとともに、特に鑑定評価額の決定の理由については、依頼者その他第三者
に対して十分に説明し得るものとするように努めなければならない。

第2節記載事項
鑑定評価報告書には、少なくともⅠ~Ⅸの事項について、次に記する点に留意して記
載しなければならない。

Ⅰ 鑑定評価額及び価格又は賃料の種類
正常価格又は正常賃料を求めることができる不動産について、依頼目的及び条件に
より限定価格、特定価格又は限定賃料を求めた場合は、かっこ書きで正常価格又は正
常賃料である旨を付記してそれらの額を併記しなければならない。
また総論第7章 第2節、Ⅰの1.に定める支払賃料の鑑定評価を依頼された場合における鑑定評価額 の記載は、支払賃料である旨を付記して支払賃料の額を表示するとともに、当該支払
賃料が実質賃料と異なる場合においては、かっこ書きで実質賃料である旨を付記して
実質賃料の額を併記するものとする。

Ⅱ 鑑定評価の条件
対象確定条件又は依頼目的に応じ付加された地域要因若しくは個別的要因について
の想定上の条件についてそれらが妥当なものであると判断した根拠を明らかにすると
ともに、必要があると認められるときは、当該条件が付加されない場合の価格等の参
考事項を記載すべきである。

Ⅲ 対象不動産の所在、地番、地目、家屋番号、構造、用途、数量等及び対象不動産に
係る権利の種類

Ⅳ 鑑定評価の依頼目的及び条件と価格又は賃料の種類との関連
鑑定評価の依頼目的及び条件に応じ、当該価格を求めるべきと判断した理由を記載
しなければならない。特に、特定価格を求めた場合には法令等による社会的要請の根
拠、また、特殊価格を求めた場合には文化財の指定の事実等を明らかにしなければな
らない。

Ⅴ 価格時点及び鑑定評価を行った年月日
後日対象不動産の現況把握に疑義が生ずる場合があることを考慮して、実際に現地
に赴き対象不動産の現況を確認した年月日(実査日)をあわせて記載しなければなら
ない。

Ⅵ 鑑定評価額の決定の理由の要旨
鑑定評価額の決定の理由の要旨は下記に掲げる内容について記載するものとする
1 地域分析及び個別分析に係る事項.
同一需給圏及び近隣地域の範囲及び状況、対象不動産に係る価格形成要因につい
ての状況、同一需給圏の市場動向及び同一需給圏における典型的な市場参加者の行
動、代替、競争等の関係にある不動産と比べた対象不動産の優劣及び競争力の程度
等について記載しなければならない。

2 最有効使用の判定に関する事項.
最有効使用及びその判定の理由を明確に記載する。なお、建物及びその敷地に係
る鑑定評価における最有効使用の判定の記載は、建物及びその敷地の最有効使用の
ほか、その敷地の更地としての最有効使用についても記載しなければならない。

3 鑑定評価方式の適用に関する事項.
鑑定評価の三方式を併用することが困難な場合にはその理由を記載するものとす
る。

4 試算価格又は試算賃料の調整に関する事項.
試算価格又は試算賃料の再吟味及び説得力に係る判断の結果を記載しなければな
らない。

5 公示価格との規準に関する事項.

6 その他.
総論第7章、第2節、Ⅰの1.に定める支払賃料を求めた場合には、その支払賃
料と実質賃料との関連を記載しなければならない。

Ⅶ 鑑定評価上の不明事項に係る取扱い及び調査の範囲
対象不動産の確認、資料の検討及び価格形成要因の分析等、鑑定評価の手順の各段
階において、鑑定評価における資料収集の限界、資料の不備等によって明らかにする
ことができない事項が存する場合の評価上の取扱いを明示する必要がある。その際、
不動産鑑定士等が自ら行った調査の範囲及び内容を明確にするとともに、他の専門家
が行った調査結果等を活用した場合においては、当該専門家が調査した範囲及び内容
を明確にしなければならない。

Ⅷ その不動産の鑑定評価に関与した不動産鑑定士等の対象不動産に関する利害関係又
は対象不動産に関し利害関係を有する者との縁故若しくは特別の利害関係の有無及び
その内容

Ⅸ その不動産の鑑定評価に関与した不動産鑑定士等の氏名

第3節附属資料
対象不動産等の所在を明示した地図、土地又は建物等の図面、写真等の確認資料、事
例資料等は、必要に応じて鑑定評価報告書に添付するものとする。
なお、他の専門家が行った調査結果等を活用するために入手した調査報告書等の資料
についても、必要に応じて、附属資料として添付するものとする。ただし、当該他の専
門家の同意が得られないときは、この限りでない。

■不動産の価格を形成する要因
不動産の価格を形成する要因(以下「価格形成要因」という)とは、不動産の効用及。
び相対的稀少性並びに不動産に対する有効需要の三者に影響を与える要因をいう。不動産
の価格は、多数の要因の相互作用の結果として形成されるものであるが、要因それ自体も
常に変動する傾向を持っている。したがって、不動産の鑑定評価を行うに当たっては、価
格形成要因を市場参加者の観点から明確に把握し、かつ、その推移及び動向並びに諸要因
間の相互関係を十分に分析して前記三者に及ぼすその影響を判定することが必要である
価格形成要因は、一般的要因、地域要因及び個別的要因に分けられる。

第1節一般的要因
一般的要因とは、一般経済社会における不動産のあり方及びその価格の水準に影響を
与える要因をいう。それは、自然的要因、社会的要因、経済的要因及び行政的要因に大
別される。
一般的要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。

Ⅰ 自然的要因
1.地質、地盤等の状態
2.土壌及び土層の状態
3.地勢の状態
4.地理的位置関係
5.気象の状態

Ⅱ 社会的要因
1.人口の状態
2.家族構成及び世帯分離の状態
3.都市形成及び公共施設の整備の状態
4.教育及び社会福祉の状態
5.不動産の取引及び使用収益の慣行
6.建築様式等の状態
7.情報化の進展の状態
8.生活様式等の状態

Ⅲ 経済的要因
1.貯蓄、消費、投資及び国際収支の状態
2.財政及び金融の状態
3.物価、賃金、雇用及び企業活動の状態
4.税負担の状態
5.企業会計制度の状態
6.技術革新及び産業構造の状態
7.交通体系の状態
8.国際化の状態

Ⅳ 行政的要因
1.土地利用に関する計画及び規制の状態
2.土地及び建築物の構造、防災等に関する規制の状態
3.宅地及び住宅に関する施策の状態
4.不動産に関する税制の状態
5.不動産の取引に関する規制の状態

第2節地域要因
地域要因とは、一般的要因の相関結合によって規模、構成の内容、機能等にわたる各
地域の特性を形成し、その地域に属する不動産の価格の形成に全般的な影響を与える要
因をいう。
Ⅰ 宅地地域
1.住宅地域
住宅地域の地域要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
(1)日照、温度、湿度、風向等の気象の状態
(2)街路の幅員、構造等の状態
(3)都心との距離及び交通施設の状態
(4)商業施設の配置の状態
(5)上下水道、ガス等の供給・処理施設の状態
(6)情報通信基盤の整備の状態
(7)公共施設、公益的施設等の配置の状態
(8)汚水処理場等の嫌悪施設等の有無
(9)洪水、地すべり等の災害の発生の危険性
(10)騒音、大気の汚染、土壌汚染等の公害の発生の程度
(11)各画地の面積、配置及び利用の状態
(12)住宅、生垣、街路修景等の街並みの状態
(13)眺望、景観等の自然的環境の良否
(14)土地利用に関する計画及び規制の状態

2.商業地域
前記1.に掲げる地域要因のほか、商業地域特有の地域要因の主なものを例示す
れば、次のとおりである。
(1)商業施設又は業務施設の種類、規模、集積度等の状態
(2)商業背後地及び顧客の質と量
(3)顧客及び従業員の交通手段の状態
(4)商品の搬入及び搬出の利便性
(5)街路の回遊性、アーケード等の状態
(6)営業の種別及び競争の状態
(7)当該地域の経営者の創意と資力
(8)繁華性の程度及び盛衰の動向
(9)駐車施設の整備の状態
(10)行政上の助成及び規制の程度

3.工業地域
前記1.に掲げる地域要因のほか、工業地域特有の地域要因の主なものを例示す
れば、次のとおりである。
(1)幹線道路、鉄道、港湾、空港等の輸送施設の整備の状況
(2)労働力確保の難易
(3)製品販売市場及び原材料仕入市場との位置関係
(4)動力資源及び用排水に関する費用
(5)関連産業との位置関係
(6)水質の汚濁、大気の汚染等の公害の発生の危険性
(7)行政上の助成及び規制の程度

Ⅱ 農地地域
農地地域の地域要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
1.日照、温度、湿度、風雨等の気象の状態
2.起伏、高低等の地勢の状態
3.土壌及び土層の状態
4.水利及び水質の状態
5.洪水、地すべり等の災害の発生の危険性
6.道路等の整備の状態
7.集落との位置関係
8.集荷地又は産地市場との位置関係
9.消費地との距離及び輸送施設の状態
10.行政上の助成及び規制の程度

Ⅲ 林地地域
林地地域の地域要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
1.日照、温度、湿度、風雨等の気象の状態
2.標高、地勢等の状態
3.土壌及び土層の状態
4.林道等の整備の状態
5.労働力確保の難易
6.行政上の助成及び規制の程度

なお、ある種別の地域から他の種別の地域へと転換し、又は移行しつつある地域につ
いては、転換し、又は移行すると見込まれる転換後又は移行後の種別の地域の地域要因
をより重視すべきであるが、転換又は移行の程度の低い場合においては、転換前又は移
行前の種別の地域の地域要因をより重視すべきである。

第3節個別的要因
個別的要因とは、不動産に個別性を生じさせ、その価格を個別的に形成する要因をい
う。個別的要因は、土地、建物等の区分に応じて次のように分けられる。

Ⅰ 土地に関する個別的要因
1.宅地
(1)住宅地
住宅地の個別的要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
① 地勢、地質、地盤等
② 日照、通風及び乾湿
③ 間口、奥行、地積、形状等
④ 高低、角地その他の接面街路との関係
⑤ 接面街路の幅員、構造等の状態
⑥ 接面街路の系統及び連続性
⑦ 交通施設との距離
⑧ 商業施設との接近の程度
⑨ 公共施設、公益的施設等との接近の程度
⑩ 汚水処理場等の嫌悪施設等との接近の程度
⑪ 隣接不動産等周囲の状態
⑫ 上下水道、ガス等の供給・処理施設の有無及びその利用の難易
⑬ 情報通信基盤の利用の難易
⑭ 埋蔵文化財及び地下埋設物の有無並びにその状態
⑮ 土壌汚染の有無及びその状態
⑯ 公法上及び私法上の規制、制約等

(2)商業地
商業地の個別的要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
① 地勢、地質、地盤等
② 間口、奥行、地積、形状等
③ 高低、角地その他の接面街路との関係
④ 接面街路の幅員、構造等の状態
⑤ 接面街路の系統及び連続性
⑥ 商業地域の中心への接近性
⑦ 主要交通機関との接近性
⑧ 顧客の流動の状態との適合性
⑨ 隣接不動産等周囲の状態
⑩ 上下水道、ガス等の供給・処理施設の有無及びその利用の難易
⑪ 情報通信基盤の利用の難易
⑫ 埋蔵文化財及び地下埋設物の有無並びにその状態
⑬ 土壌汚染の有無及びその状態
⑭ 公法上及び私法上の規制、制約等

(3)工業地
工業地の個別的要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
① 地勢、地質、地盤等
② 間口、奥行、地積、形状等
③ 高低、角地その他の接面街路との関係
④ 接面街路の幅員、構造等の状態
⑤ 接面街路の系統及び連続性
⑥ 従業員の通勤等のための主要交通機関との接近性
⑦ 幹線道路、鉄道、港湾、空港等の輸送施設との位置関係
⑧ 電力等の動力資源の状態及び引込の難易
⑨ 用排水等の供給・処理施設の整備の必要性
⑩ 上下水道、ガス等の供給・処理施設の有無及びその利用の難易
⑪ 情報通信基盤の利用の難易
⑫ 埋蔵文化財及び地下埋設物の有無並びにその状態
⑬ 土壌汚染の有無及びその状態
⑭ 公法上及び私法上の規制、制約等

2.農地
農地の個別的要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
(1)日照、乾湿、雨量等の状態
(2)土壌及び土層の状態
(3)農道の状態
(4)灌漑排水の状態
(5)耕うんの難易
(6)集落との接近の程度
(7)集荷地との接近の程度
(8)災害の危険性の程度
(9)公法上及び私法上の規制、制約等

3.林地
林地の個別的要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
(1)日照、乾湿、雨量等の状態
(2)標高、地勢等の状態
(3)土壌及び土層の状態
(4)木材の搬出、運搬等の難易
(5)管理の難易
(6)公法上及び私法上の規制、制約等

4.見込地及び移行地
見込地及び移行地については、転換し、又は移行すると見込まれる転換後又は移
行後の種別の地域内の土地の個別的要因をより重視すべきであるが、転換又は移行
の程度の低い場合においては、転換前又は移行前の種別の地域内の土地の個別的要
因をより重視すべきである。

Ⅱ 建物に関する個別的要因
建物に関する個別的要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
1.建築(新築、増改築又は移転)の年次
2.面積、高さ、構造、材質等
3.設計、設備等の機能性
4.施工の質と量
5.耐震性、耐火性等建物の性能
6.維持管理の状態
7.有害な物質の使用の有無及びその状態
8.建物とその環境との適合の状態
9.公法上及び私法上の規制、制約等

Ⅲ 建物及びその敷地に関する個別的要因
前記Ⅰ及びⅡに例示したもののほか、建物及びその敷地に関する個別的要因の主な
ものを例示すれば、敷地内における建物、駐車場、通路、庭等の配置、建物と敷地の
規模の対応関係等建物等と敷地との適応の状態がある。
さらに、賃貸用不動産に関する個別的要因には、賃貸経営管理の良否があり、その
主なものを例示すれば、次のとおりである。
1.借主の状況及び賃貸借契約の内容
2.貸室の稼働状況
3.修繕計画及び管理計画の良否並びにその実施の状態



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